一条工務店 耐水害住宅のメリット・デメリットを徹底解説!
「一条工務店の耐水害住宅を検討したい。」
「川が近いので、大雨に強い家にしたい。」
一条工務店が2020年に販売を開始した「耐水害住宅」。近年は豪雨が増加しており、耐水害住宅は注目を浴びています。
この記事では、一条工務店の耐水害住宅を採用するメリット・デメリットや疑問点について、詳しく解説します。
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一条工務店の耐水害住宅とは?
耐水害住宅とは、世界初の水害対策を取り入れた住宅であり、2020年9月から一条工務店によって販売されています。豪雨の増加により、耐水害住宅は注目を浴びています。
そこで、具体的に耐水害住宅がどのような対策を講じて、水害から暮らしを守ってくれるのかについてご紹介します。
家屋を浸水から守る対策
水害が発生すると、水位が徐々に上昇し、まず床下の換気口から水が侵入し始め、床下が浸水します。さらに水位が上昇し、床の高さを超えると玄関ドアや窓からも水が室内に侵入し、床上が浸水します。
そのため、浸水被害を防ぐために重要なポイントは、床下からの浸水、玄関ドアからの浸水、窓からの浸水です。
・フロート弁付き床下換気口
床下からの浸水に対処するために、「フロート弁」が使用されます。
床下の換気口に取り付けられたフロート弁は、水が浸入すると自動的に浮き上がり、フタとして機能して水の侵入を防ぎます。水位が下がると、弁も元の位置に戻り、換気口としての機能を果たします。
・高い水密性の玄関ドア
玄関ドアは、ドア枠と壁を一体化させ、隙間をなくしています。また、浸水対策として、鍵穴も一般的な位置よりも高い位置に設置されています。
さらに、ドアとドア枠の間には、自動車に使用される中空パッキンを応用した専用パッキンが使用され、高い水密性を確保しています。これにより、水の侵入を防ぎます。
・高い水密性と衝撃に強い窓
1階の掃き出し窓には、高い水密性を持つ開き窓が採用されており、工場で壁に取り付ける前に施工ムラが生じないようにしています。玄関ドアと同様に、中空パッキンが使用され、窓と窓枠の隙間からの水の侵入を防ぎます。
また、窓ガラスは3層構造であり、外側は5mm厚の強化ガラス、室内側は合わせガラスのダブルバリア仕様となっています。これにより、水圧に耐えるだけでなく、水害時に漂流物が窓に当たっても簡単に割れないように作られています。
逆流から家屋を守る対策
水位が上昇すると、水は排水管を通って逆流し、洗面室、トイレ、浴槽などの排水管のある場所から室内に水があふれ出てきます。耐水害住宅では、逆流現象を防ぐために逆流防止弁が設置されています。
・逆流防止弁
専門メーカーとの共同開発により、床下の排水管に逆流防止弁が採用されています。水位が上昇して汚水が逆流する場合、自動的に弁が閉じられ、室内への溢れを防止します。また、メンテナンスの容易さを考慮し、弁の上部に点検口が設けられています。
・機器を水没から保護する対策
耐水害住宅では、建物の外部設備にも水没対策が施されています。
・高い位置への設置
エコキュートなど重要な基盤は上部に配置し、蓄電池やエアコンの室外機、外部の電気設備などは高い位置に設置することで水没から保護されます。
重さ100kg以上の蓄電池を壁に取り付ける方法や、基礎に直接取り付けるエアコン室外機の架台などには、一条工務店独自の技術が使用されています。
浮力に対する対策
住宅の高い気密性により、水位がある一定の高さを超えると建物に浮力がかかり、浮いてしまう可能性があります。このような浮力に対する対策として、「スタンダードタイプ」と「浮上タイプ」という2つのオプションが提供されています。
・スタンダードタイプ – 床下注水ダクト仕様 –
スタンダードタイプは、水位が1メートル程度までは高い水密性により建物への浸水を防ぎます。しかし、建物が浮上する危険がある水位になると、床下に設置された注水ダクトを通じて意図的に水を取り込み、水の重みによって浮力を防ぎます。
床下に注水された水は、水位が下がった後に基礎部分に設けられた排水穴から排水することができます。
・浮上タイプ – 係留装置仕様 –
浮上タイプは、浮力を利用して建物を安全に浮上させ、浸水を防ぐための係留装置を備えています。
建物は敷地の四隅に設置されたポールと専用のダンパー付き係留装置によって固定されているため、浮上時に流される心配はありません。エコキュートやエアコン室外機などの外部設備も建物と一緒に浮上するため、水没を免れます。さらに、水位が下がった後に安定した着地ができるように、二重基礎構造が採用されています。
・二重基礎構造
通常の基礎構造では、浮上時に土砂が流入したり、地面が崩れて水平を保てない場合があります。しかし、二重基礎構造では、基礎の下にもコンクリートを敷くことで、安定した着地が可能となります。
一条工務店の耐水害住宅を採用するメリット6選
次に、一条工務店の耐水害住宅を採用するメリットをご紹介します。
一条工務店 耐水害住宅のメリット①「安心感」
最も重要な点は、大雨の際に感じる安心感です。
毎年、全国各地で水害が発生し、その度に他人事ではないと感じることでしょう。しかし、耐水害住宅を選択することで、心に安心感が芽生えます。
一条工務店 耐水害住宅のメリット②「地震に対する高い耐性」
耐水害住宅には、標準仕様として「2倍耐震」が採用されています。この「2倍耐震」オプションは、坪単価3,000円(キャンペーン価格)ですが、耐水害住宅を選ぶと無料で施工することができます。
一条工務店 耐水害住宅のメリット③「避難所での生活を必要としない」
家の中に水が浸入すると、洪水が引いた後でも復旧に時間がかかり、避難所での生活を余儀なくされることがあります。しかし、耐水害住宅では家の内部に水が入らないため、自宅での避難が可能となります。避難所でのストレスや、感染症の心配もなくなるでしょう。
一条工務店 耐水害住宅のメリット④「平屋の不利点を克服する」
従来の平屋住宅には、2階がないため、家具や家電製品はもちろん、人々も垂直避難ができないというデメリットがありました。しかし、耐水害住宅では浸水被害を防ぐことができるため、平屋との相性が良いです。
一条工務店 耐水害住宅のメリット⑤「災害後の迅速な復旧とコスト削減」
耐水害住宅では、家の内部に水が侵入しないため、水害後の復旧作業が迅速に行われます。
通常の住宅で床上浸水が発生した場合、床を剥がしたり、設備や断熱材を交換したりする必要があり、数百万円の費用がかかることもあります。しかし、耐水害住宅では、そうした費用も削減できます。
一条工務店 耐水害住宅のメリット⑥「高い気密性の住宅となる」
隙間があると浸水のリスクが生じるため、耐水害住宅では、窓や玄関に高性能な中空パッキンを使用しています。また、徹底的な気密施工が行われるため、非常に高い気密性を持つ住宅が建てられます。
一条工務店の耐水害住宅を採用するデメリット5選
次に、一条工務店の耐水害住宅を採用するデメリットをご紹介します。
一条工務店 耐水害住宅のデメリット①「対応している商品は限られる」
一条工務店では外観デザインや性能、様々なライフスタイルに対応出来るように複数の商品を取り扱っていますが、耐水害住宅のオプション設定はi-smart(またはi-cube)に限定されており、グランセゾンは対象外です。
一条工務店 耐水害住宅のデメリット②「初期費用が必要」
耐水害住宅はオプションとして提供されるため、別途費用が必要です。延床面積が30坪の住宅の場合、スタンダードタイプでは約45万円の追加費用となります。
一条工務店 耐水害住宅のデメリット③「窓や玄関ドアの種類が制限」
一般的な戸建住宅では、掃き出し窓には引き違い窓が最も一般的に採用されていますが、耐水害住宅では1階に引き違い窓を採用することはできません。また、耐水害住宅では最大サイズとして1.8m×2.1m程度の窓が採用可能となりますので、大きな開口窓を実現することは難しいです。
玄関ドアも耐水害住宅専用のものから選ぶ必要があり、選択肢は限られます。また、鍵穴が高い位置に設置されているため、一体型のスマートキーは採用できません。
一条工務店 耐水害住宅のデメリット④「経年劣化による影響の不確実性」
耐水害住宅は、2020年9月から世界で初めて販売された住宅です。そのため、築20年や30年後においても実際の大規模実験と同様の結果が得られるのか、不確実な側面があります。また、耐震住宅に変更することで生じるメンテナンス費用なども考慮しなければなりません。
一条工務店 耐水害住宅のデメリット⑤「耐力壁の出現」
これは耐水害住宅よりもむしろ2倍耐震を実現することの結果です。このため、意図しない箇所に耐力壁が現れ、間取りに制約が生じる可能性があります。
一条工務店 耐水害住宅に関する疑問6選
次に、一条工務店の耐水害住宅に関する疑問について、お答えします。
耐水害住宅の価格
耐水害住宅はオプションとして提供されます。
スタンダードタイプの場合、坪単価に約1.5万円の追加費用がかかります。一方、浮上タイプでは坪単価に約3万円の追加費用がかかります。
例えば、延床面積が30坪の住宅の場合、スタンダードタイプでは約45万円の追加費用がかかりますし、浮上タイプでは約90万円の追加費用がかかります。
洪水で漂流物が衝突しても大丈夫?
耐水害住宅に採用されている窓ガラスは5mm厚の強化ガラスと合わせガラスで構成されており、非常に頑丈です。そのため、流木などの漂流物が衝突しても大きな損傷は受けません。ただし、上流から家や他の建物が流れてきて衝突した場合は例外です。
耐震性は大丈夫?
耐水害住宅の浮上タイプでは、建物の基礎部分が地面から切り離されているため、動きそうに見えるかもしれませんが、一般の住宅と同様に地震が発生してもほとんど動かないのが特徴です。
その理由は、建物の重量に対して地面と基礎の間の摩擦係数が一般の住宅とほぼ同等であるためです。また、耐水害住宅では基礎の立ち上がり部分を通常よりも厚く設計し、建物の耐震強度も建築基準法の基準の2倍になるように設計されていますので、耐震性にも問題はありません。
浮上時に傾かない?
耐水害住宅では、浮上時に家が大きく傾くことはありません。建築段階から、各住宅の重心を確認し、間取りに応じて基礎の重量バランスを調整して最適化します。したがって、浮上した時に家が傾く心配はありません。
実際の実験では、2トンの重りを建物内で追加したり移動させたりしても、わずかな傾きしか観測されず、安定性が確認されています。したがって、グランドピアノや重い本の棚などの重い家具を設置しても安心です。
浮上中に何かが家の下に挟まることはない?
耐水害住宅では、浮上中に何かが家の下に挟まった場合でも、一般的な建物と比べて変形することなく、頑丈なベタ基礎と建物が一体となった構造によって安定性が保たれます。もし何かが挟まった場合、建物を傷つけずに取り除くためにエアージャッキが使用されます。
わずかな時間で復旧作業が行われ、家の安全な状態が回復します。耐水害住宅は、傾いた状態で着地しても安全に復旧できるように設計されています。
給水管は大丈夫?
浮上タイプの耐水害住宅では、柔軟性のある給水管が使用されており、浮上時に引っ張られる力で留めていたピンが外れ、給水管が外れる仕組みになっています。給水管の接続部には自動閉鎖のバルブが装備されており、給水管が外れた瞬間に自動的に栓がしまり、汚水が家の内部に入らないようになっています。
水位が元に戻った後は、外れた給水管を再度接続してピンで留めることで簡単に元の状態に戻せます。排水管も同様の仕組みで構成されており、浮上時に意図的に給排水管を切り離すことで割れるリスクを防止しています。
耐水害住宅は検討の価値あり!
この記事では、一条工務店の耐水害住宅を採用するメリット・デメリットや疑問点について、詳しく解説しました。
一条工務店で建てるなら、耐水害住宅は検討すべきオプションです。これだけ性能が上がるにも関わらず、初期費用は安価だと思います。追加費用が1坪あたり1.5万円または3万円程度で耐水害住宅を採用できるのであれば、十分に検討の価値があります。
ぜひ、参考にしてみてください。
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